大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和50年(オ)592号 判決

主文

理由

上告代理人大杉和義の上告理由一について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同二について

先順位の担保権が設定されている不動産を目的とする譲渡担保契約においては、譲渡担保権者が把握できる目的不動産の金銭的価値は、目的不動産の価額から先順位の担保権の被担保債権額を控除した残余価値にすぎないのであるから、所論の清算金債権の有無及び数額を算定するにあたつては、まず目的不動産の価額から先順位の被担保債権額を控除したうえ、その残額と当該譲渡担保の債権額とを比較するのが相当である(先順位の被担保債権額と譲渡担保の債権額とを合算した金額をもつて目的不動産の価額と比較しても、計算上は同じである。)。これと同趣旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はなく、所論引用の判例は所論のような算定方法を採るべき旨を判示したものとは解されない。所論は、独自の見解を主張するものにすぎず、論旨は採用することができない。

(裁判長裁判官 吉田 豊 裁判官 岡原昌男 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 本林 譲)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例